下大沢 駿|Shun Shimoosawa

新しかったまちの新しい木

2020

インスタレーション

コンクリート、布にプリント、木材、映像、折り紙、壁面にチョーク、など

 

私の育ったまちは、ホンマタカシ「TOKYO SUBURBIA 東京郊外」(1998)に登場しており、その写真集に社会学者の宮台真司は以下の文章を寄せています。

「ホンマタカシの写真を見て思うのは、郊外に住む子どもたちの表情がとてもいいなってことです。そんな素敵な表情をした彼らの顔を見ていると、生まれたときから名前のない街に棲息するリアリティって、どんなものなんだろうと考えさせられます。」

得体のしれない子供たちとして対象化され、論じられた当時の<彼ら>は、私自身でもあり、過去との断絶を克服しようとする<私たち>に他なりません。

 

駅前の路面に、街路樹が撤去された跡がありました。私が感じたわずかな喪失感は、歴史から切り離されたこのまちに多少の歴史が堆積していた表れでもあります。
街路樹の撤去跡で無邪気に遊ぶ子供たちの写真と、撤去された街路樹を囲んでいたコンクリートブロックを組み合わせたオブジェクト、そして、公園の案内板を縦横無尽に這いまわるアリの映像を、公園の案内板を実寸で再現したものに投影した作品で、この空間は構成されています。