下大沢 駿|Shun Shimoosawa
2019
インスタレーション|藤沢市アートスペース「Artists in FAS 2019」
コンクリート、プラダン、木材、折り紙、クレヨン、そろばんの駒、漆喰、アスファルト、など
幼少期に藤沢市内に住んでいた私が、久しぶりにその地域を訪れると、 記憶の中では立派なまち並みが、とても小さく萎んで感じました。かつての私が憧れた当時のまち並みが、展示空間の窓から見える辻堂駅周辺の新しいまち並みに重なり、 その景色を借景することでこの作品は成立しています。
展示室に浮く白い立体は、 展示室の奥にあるコンクリート製立体の型枠です。それらは、バブルの遺産とも揶揄される、当時の私もよく利用した湘南台の公共施設をモチーフにしています。
この展示空間はビルの6階に位置し、そのバルコニーに植えられたニ本の樹木は、わずかな土に根を張り成長するも、 一定の高さで剪定が繰り返されています。その樹木を模した二つの立体は、新しいまち辻堂の象徴です。
展示室の窓から見下ろす景色を模した台上にある、コンクリート製のミニカーは、子ども達が触って遊べるようになっています。私が作ったミニチュアの公園も、子ども達にとっては格好のサーキットのようです。
堅苦しい秩序から、新しいまちを救うのは、 一見暴力的にも見えるちびっ子たちの無邪気さだと考えました。