下大沢 駿|Shun Shimoosawa
2018
鉄筋コンクリート、陶
私の育ったまちでは多くの緑道が整備され、たくさんの木々や草花が見られます。その中でも、この地域の風土に適しているというカシの木の姿は多く見られます。合理的な計画に基づいて、ずっと昔からあるかのように、新しく植えられたその木は、人工的な自然です。私はそんな自然を嘘くさく感じると同時に、その確かな生命力に戸惑いを覚えてしまいます。
この作品は、内側にカシの木の形を陰刻しながら粘土を筒状に積み上げ、焼成したものを型とし、そこにコンクリートを流し込むことで成形されています。そして私は、割り出しの際に粉々になった陶製の型と、その内部のコンクリートを共に提示しました。
誰かの手によって作り出される作品は、人間の作為と自然の理との間に位置しており、偽物とも本物とも言い切れない人工的な自然と似ています。私の作ったこの作品もいつか自然な存在となるのでしょうか。